“ＮＥＷ ＥＲＡ”
滋賀大学ラグビー 主将 WTB矢島 将貴（やじままさき）
初心者が半分
矢島は、高校まで野球を続けており、大学でも野球を続けつつ、たくさん遊びたいと考えていたので準硬式野球のサークルに入ろうと考えていた。しかし、同じ高校の先輩がラグビー部に所属しており、「入るつもりなくてもいいから焼肉だけ食べにおいで」と新歓に誘われ参加した。「その後も何度かラグビー部の新歓に参加し、部内の雰囲気が非常に良いことと、初心者が半分くらいいて、自分でも活躍できるのではと思ったことから心機一転し、ラグビー部への入部を決めました。」
覚悟はしていた
1つ上の先輩方が引退されるときに矢島はキャプテンに指名されました。その時の事をこう振り返る。「やりたいという気持ちはあまりなかったのですが、自分しかいないだろうなと覚悟はしていたので驚きはありませんでしたが不安でいっぱいでした。というのも、私の知るキャプテン（1,2,3年時のキャプテン）は皆、高校時にはラグビーを始めていて、キャプテンシーもあり、プレーでも引っ張ってくれるような人たちであったからです。しかし私はレギュラーではあるものの、ラグビーが特別うまいわけでもなく、キャプテンを務めるのも初めてだったので、自分にチームを作ることができるのかと不安でいっぱいでした。」
スローガンへ込めた想い
今年度のスローガンは「ＮＥＷ ＥＲＡ」だ。ＥＲＡの部分にはスローガン達成のための要素としてEffort・Renovation・Advanceの意味が込められている。矢島にこのスローガンにした理由を聞いた。「スローガンは文字通り、新たな形のチームを作るという決意でこのスローガンにしました。ここ数年のチームのイメージは三角形△のような形で経験者の上手なプレーヤーや、上回生が中心となり引っ張る、下回生や、未経験者はついていく。キャプテンは三角形の頂点に立って引っ張るという印象でした。今年のチームは4回生に経験者がほとんどいないことや、チームの人数も少ない（大学から始めた下回生を試合に出さなくてはいけない）という事情から焦点を当てるレベルを下げ、底上げが必要だと考えました。そして、下回生は引っ張られるのではなく自発的に頑張り、上回生は下回生に目を配りながら引っ張る。キャプテンの私は先頭というより、中心でチームを動かす円形〇のようなチームにしようという思いを持っています。
ちなみに、スローガンは4回生が集まって話し合い、考えました。「NEW ERA」は私が出した案なのですが挑戦的過ぎて皆はあまり乗り気ではありませんでした。しかし、後に引けないように大きく出ようと私が半ば強引に通しました（笑）」とスローガンへ込めた熱い熱い想いを話してくれた。
目的意識をもって取り組む
矢島に心がけていることを聞いた。「まずは先例にとらわれないことです。問題の本質を見極め、昨年はこうしていたからという理由で決断しないようにしています。アップの内容や、練習メニューなど長期に渡って続けられてきたものを少しずつ意味のあるものに変更してきました。また、チームの底上げを行うために、練習はよりシンプルにわかりやすくすることを重視しました。また、練習のポイントを具体的に示すことで下回生でも目的意識をもって取り組めるように努めました。練習のテンポや回数が落ちてしまったことはデメリットでしたが、底上げには確実に繋がっていると実感しています。」
部員はファミリー
今年のチームの印象について質問をした。「今年は、とにかくまとまりのあるチームだと思います。上回生と下回生の温度差があまりなく、１つになっていると感じることが多いです。特に今年入部した１回生の存在が大きいと思います。経験者が多く知識や経験が豊富なプレーヤーがいる1回生と逆に経験者の少ない4回生がうまくかみ合っています。どんどん意見を出す1回生と素直に取り入れて引っ張る4回生のような形で上と下のコミュニケーションが例年にないくらい盛んです。マネージャーについても同じようなことが言えます。昨年から重要な仕事をたくさん任されてきた3,4回生のマネージャーが仕事をこなしながらよくコミュニケーションをとって下回生に教えてくれています。マネージャーにおいてはCリーグでも上位クラスではないかと思います。ラグビーではCリーグ中位に甘んじているので負けないように頑張らねばと思っています。下回生は上回生に対して親しみ、尊敬してくれていると感じますし、上回生は下回生を信頼しつつかわいがってくれています。技術やプレーの精度などまだまだ完成とは言えませんが目指す円形のイメージに近いチームになっている印象です。」
最後に
シーズンも終盤に差し掛かろうとしており、現在チームは1勝3敗と苦しい展開が続いています。シーズン当初に目指していたCリーグ上位の達成の可能性は消滅してしまいましたが、まずはCリーグ中位（12チーム中5～8位）に進出することを何としても達成したいです。
そして、ここ2年間は7位、8位という成績ですのでCリーグ5,6位を勝ち取ることが現在の目標です。今年のチームの実力とまとまりが発揮できれば必ず達成できると思いますので、チーム全員で同じ目標に向かって残り1か月ほどのこのチームでできるラグビーを楽しみ、やり切りたいと思います、
※本記事に掲載されている写真は、ご本人から直接ご提供いただいたものです。
